【⠀土日限定公開⠀】
Milkmanが来なくなった。
次は保存食 ? 電気? 次に止まるのは.....?
冷蔵庫と貯蔵庫のストックを確認しても、持って2週間。
上はどうなっているんだろう?
ぴしんは 相変わらず 僕に微笑んでくれるけど。
。。。。

外気を遮断する 鉄の扉が吹き飛んだ。
黄色の法衣の切れ端が、はらはらと舞って 僕らのアナグラに落ちてきた。
僕とぴしんは、三日前の牛乳を手にし、重たい扉を施錠した。
終わっちゃったんだね… そう呟くシントーに、何も応えを返す事が出来なかった。
「扉を触っちゃ駄目だよ キット。」
火傷をしてしまうから。
衝撃波はこの深い地下まで揺らした。
僕達の巣穴は 時折揺れるだけで、壊れるには程遠いようだ。
一体 どれだけの人達が不安な時を過ごしているのだろう。
おそらく 潜ったひと握り。
父や母も きっともう居ない。
シントーのお義父さんも。
「ねえ ぴしん 宇宙人とかも外にいるのかな?」
OFF兄さんが 侵略にも備えておけ等と言うものだから 僕はありったけのオカルト本を検索して、あらゆる知識を蓄えた。
ぴしんは それよりも 備蓄が必要だからと、ドリアンチップスを大量に発注したり、フリーズドライのフライドチキンを僕の為に購入した。
それらは、食品庫や冷凍室にぎゅうぎゅうに詰まっているけれど、いつか腐ってしまうだろう。だって、予備電源は保っても数日だ。
「居たら カメラに収めるよ。」
そんな余裕あんのかな?
変な光線銃で、僕達はあっという間に消え去ってしまうかも
シントーが光学ファインダーを除き 絞りを調節する暇もなくね。
「ぴしん 怖いよ。僕達 二人きりになっちゃったの?」
シントーはおいでと僕を膝に載せ、ぎゅうっと抱きしめる。
頼みの綱のSNSが生きているか僕の背中の後ろで確認している。
喉が上下する様を顎下に額をくっつけて感じた。
胸の鼓動も早い。僕と同じく シントーも恐怖を感じている。
「ぴおふにLINEしてみたけど、既読にはならないな。」
無事だといいけど。
放射能チェッカーが内廊下の壁でマックスレベルで振り切っている。
外には出られない。
どれだけ続くだろう。
おそらく ここからは出られない。
全身が総毛立つ
誰も居ない世界
僕達は生き残った アダムとイブ
なんだよ それ。。。。。方舟ってやっぱりそういう意味?
僕達は 何を創成出来るって言うんだよ......
「ぴしん、計画的に食べなくちゃ、、、僕達 し、、、、」
シントー?....
吐く息は荒く
露骨に盛り上がったシントーの局部
突起し 僕を突く
首筋に 冷たい 唇の感触を感じ、身震いする
生殖本能
生きるために子孫を残そうとする本能的な生理現象
「ぴしん、、、お腹空いちゃうよ、、、、、」
捕食者の目
百獣の王は 生きるために 僕を食べる。
「空腹だから 喰うんだよ。。。。。」
この先は 無限に続く 快楽堕ち
例えば 僕らを遮る薄い物質がとうに尽きても
誰一人 留意してセックスしろなど言わないのだ。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
太陽が墜ちて 熱風を平たく吹かしているような
月は登らず 夜は撤退したまま 訪れない
星々は彼方に吹き飛ばされ
宇宙のどこかで 玉突き状態で溜まってる
そんなこと 想像した。
僕の身体は シントーが付けた痕で全身赤黒い
それでもまだ 埋まっていない肌を見つけては吸った。
「ぴしん 美味しい?」
「骨まで 食べたいくらい 美味しいよ。」
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
誰かが泣いている
片割れを失って
じゅうじゅうと音を立て燃える 蜃気楼の向こうに
横たわり 誰かを探す
見つけられずに 彷徨う
希も尽きかけ 天を仰ぐ
僕は、ま白いベッドの上に立って
全てを見渡す。
灰の街
でもね、僕は 助けられる
そんな気がするんだ。
どんなに時間が掛かっても
消えない愛がある限り
僕らは その愛を護れる。
「コートー 、酷くしたね.....キット....」
シントーは、僕を撫でる
ううん、 いいんだ。
痛くなどない。
生かされてるって感じる。
「上は、 どんなだろうね」と聞くと、 シントーは額にキスをし、どんなだろうと呟く。
待ってて、とシントーはベッドから出て、キッチンへ行く。
卵 4つ使うよと 声がする。
いつものシントーだ。
毎日2個だけど、短期間で栄養が必要だってことだ。
シントーがいつもより少し 動作の早い時は、決断の時。
何かを計画したってこと。
僕は ローブを羽織って、 ベッドを整える。
ソーセージもひと袋 全部。
スキレットは1つ。
調味料もいつも通り使っちゃおう。
タンクの水は残量はある。
2人で十分な量を湯はりする。
「お風呂、 先がいいな」
「いいよ 一緒に入ろ。」
ぴしんは なんでも言うこと聞いてくれる。
僕だけが甘えられる優越感を長年味わった。
誰かに自慢したいな あの頃のように。。。。。
僕だけのぴしん
僕は シントーの姓になった。
もっと 名乗りたかったな。。。。。
地球は 僕達を生かさない。
これも僕の信仰が足りなかったせいかな…...。
温かい食事を後回しにして 僕らは身体を清潔に保つべく お互いの身体を洗いっこした。
二人でバスタブに浸かった。
じんわりと温かさが 身体を包む。
予備電力が無くなったら このアナグラも蒸し風呂になるだろう。
ただでさえ暑かったこの国は 灼熱の地獄となる。
シントーは顎まで浸かって プクプクとお湯で遊ぶ。
可愛いな。兄であり 弟のようであり 、夫。
結婚出来て幸せだ。
シントーを後ろから包み込むように抱いた。
この幸せが少しでも長く続きますように。。。。。
「キット、僕ね、夢を見たんだ。僕らが知ってる大切な人が 苦しんでる夢。」
「よく眠れてないんだね。 昼食を食べたら少し眠ろう。」
「夢だけど、夢じゃない。彼らのSOSだと思う。」
「彼らって 誰?」
シントーの妄想だと思ったが、眼差しは希望に満ちているように見えた。
「OFFGUNにいさんたち」
「、、、、 え? ぴーたちが無事だと言いたいの?」
「でも 危なそう。 すぐには助けに行けないみたい。」
「助けに行くって それって....」
「二人とも 離れ離れで、、、、泣いてる。」
悲しそうなシントーの眼差しに 息が詰まりそうだ。
「ぴしん 僕、、、、今 ちょっと変だ、、、、」
ふらついて お尻が滑った。
バシャンと水に浸かった一瞬
スーパーダーリンは 僕を抱き上げて 寝室へと急いだだろう。
ごめんね 僕は 弱虫だ。
シントーの強さに 気負けした。
助けたいよね
うん 助けたい
助けてもらった
ぴーたちを探そう。
僕達は完全に一致した。
気付け薬を嗅いで、 シントーの像を結んだ。
「助けに行こう 。ぴしん。」
「コップンナ キット。」
必死に居場所をトレースしたり、スマートフォンを叩いて 兄さん達の声を探した シントー。
絶望的だと頭では理解していても、助けたいと思う熱が 僕の胸に届いた。
この人の妻で良かった。
最期まで ついて行くって心に誓う。
先ずは自分たちを整えて、毎日放射能計を睨みつけて、 僕達は、残された食料で食い繋ぐ事と、断捨離した衣類や食料を燃料にする事を決めた。
僕達は 精神力を保って、 このアナグラから出る日まで 生き抜くと決心した。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
「覚えた? キット ぴおふの願い」
「うん バッチリ。」
ぴおふの千切れた腕を回収して、数億本の瓦礫の中から 程度の良いものを添え木にして 仮止めした。
オイオイオイと情けない悲鳴をあげるぴおふ
不謹慎にも懐かしく 愛おしかった。
キットは見つけられた奇跡で数週間ぶりの涙を流した。
僕はクリスの涙を 全て掬いとって 小瓶に詰めたら 、クリスタルのチェーンを造りたい。
それほど貴重で美しい存在だ。
「伝えなくちゃね。」
「ぴがんは絶対生きてる。」
破壊神は OFFGUNの絆を壊すことが出来なかった
そして 人類はどこかしこで 生命を無駄にせず 過ごしているに違いない。
僕らは 創成出来るんだ。
「それから 、、、、ぴがんの願いはひとつだって 、僕達だって解るよね。」
薄っぺらいクリスの腰を引き寄せ キスをする。
カラカラに乾いた唇に泣きそうになるのを堪える。
いつか 君を創る全てに 潤いを蘇らすって 誓うよ。
いつの日か 僕達 夫夫と OFFGUN兄さん達で 幸せに暮らそう。
何も言わずとも クリスは僕の全てを理解した。
こくんと頷き 歩みを続ける。
「ねえ ぴしん ブランドの洋服 ありったけ買ってやるって 言ってたこと あれも言って良いんだよね?」
「いいんじゃない? ぴおふの願いでもあるんだから。」
僕達はレスキューでメッセンジャー
彼らが再び 愛を紡げるように 荒地を進む。
虹の道が出来るまで 歩みを止めずに。