❨ 同じ名前を名乗るる者たち❩

本日 私達 2moons教会は、一同、ドゥシット区のSt.Gabriel教会訪れている。
「わぁ おっきな学校ですね! 礼拝堂も大きいんだろうなあ…」
basくんは心細さからだろうか 私の腕に絡まって離れない。
出来ることなら ずっとこのままでいたい。。。。。。
何故なら ここは 敵地だからだ。
声には出さない。
出すと、必ず、キモン君あたりが、私の揚げ足を取るからだ。
「敵地って、、、、Dun牧師がいるからですか?貴方ほどの大きな人(器のことだろう)が恐れるなど」
などと言うかも知れない。
まだ3人は知らないだろうが、Dun牧師は控えめに言っても美形である。
私程ではないが、背丈もあるし、どこかしら昔から被っているのだ。
正直に言うと 怖いのだ。
basくんは常日頃から大きな私を気に入っているから、牧師に彼を会わせることが怖いのだ。
大きいものに惹かれはしないかと。。。。。
「神父さまぁ。僕 今日緊張しちゃってるんです。」
「なんと!basくん 気分が優れないのであれば ずっと私のそばにいてくれて構わない...私はいつでも 君を抱きし、、、、」
するりと私の腕を抜け、歓声を上げる。
目の前に、我が主が現れる。
「見てください 神父さま〜 大きな主の像が飾られてますよ!」
ああ...またも私は、浅き考えで、導きに逢っている。いつも私に賢き道を照らしてくださるのだ。そのために、お姿を模して現れてくださったのだ。
「神父様、まだ時間は早いんですよね?少し休みたいのですが…」
さっきまで静かだった コプター君が口を開く。
「ぴこぷ、、、、口の端、少し切れちゃってるね。無理して大きな口開けるから.....」
「ん?賛美歌の練習かな?精が出ますね、 感心ですよ。」
「...お前が悪いんだろ、、、無理やり突っ込むから....」
「コートー ぴー....あんまり切なげに声出すから 気合い入っちゃった!」
今日の為に 二人とも頑張ったのですね。賛美歌は儚くも美しく、感情を押し込めずにはいられなくなるものです。
「ねえ カフェテリアあるかなあ。僕も 喉乾いちゃった!」
「でしたら 案内しましょう。そこで時間までくつろいでください。」
私は彼らをカフェテリアに連れてゆき、ステンドグラスの埋め込まれたホールを通り過ぎ、執務室へと向かう。
途中、大きなグラウンドや、フィールドが広く取られ、豊かさを物語る。
「いってぇ、、、、....」
1人のサッカー少年が、蹲って唸っている 。
「怪我をしたのですか? 見せてください。」
「大丈夫です、、、、蹴つまづいただけなんで。。。。。」
白いストッキングは 血が滲み、汗の滴りが混じり ぼんやりと色を変える。
「怪我を甘く見てはいけませんよ? 少しの医療知識なら持ち合わせてます。」
顔を上げ 私を見上げる少年。
日焼けした肌、くっきりと凹んだ靨が愛らしい。笑顔こそ湛えてはいないが、一見でハンサムだと解る。
「...牧師様、、、それとも医者ですか?」
「神父です。 イチパット神父と呼んでください。貴方は学生さんかな?」
手洗い場のヘリに彼を座らせ、ストッキングを捲り、ハンカチを濡らし 汚れを拭う。
「はい。いずれは 神職を目指したいと思っています。」
普段携帯している、小さな救急箱から消毒液を取り出し、脱脂綿を浸し 膝に充てる
「痛.... ドジったな…またあいつ怒るだろうな? 」
「軟膏を塗っておきますね。まだサッカーを続けるようでしたら、保護しますが、、、、、」
「いえ、これから 賛美歌の練習です。神父様は大学に用事ですか? あ、、、、俺 ビルキンって言います。」
ビルキン......
同じ大学 、同じ名前
おかしな事ではないが、こういう偶然もあるのだな。
「ビルキン君、貴方の歌声はさぞかし澄んでいて美しいのでしょうね。この間 私の教会に来た同じ名のビルキン君も優しい声で美しかったのですよ。」
「ビルキン?」
手洗い場のヘリから立ち上がった彼は、訝しげに私を見つめる。
まっすぐに見つめるビー玉のような黒い瞳が、私を引き込む。
「ご存知なのですか?」
「あ....いえ 同じ聖歌隊です、、、あの手当てありがとうございました。」
ビルキン君は、礼を言い去って行く。
入れ違いに、私の可愛い仔羊達がやってくる。
「神父様〜 またナンパしてんすか?」
「やぁ!探しに来てくれたのですか? おお!ビルキン君、この間はどうもありがとう。」
「イチパット神父様 、サワディークラップ」
相変わらず、愛らしいビルキン君。このような広大なキャンパス内で逢えるとはこれも神の導きに違いない。
私はロザリオに口付ける。
「ああ、ビルキン君、神父さまって 時々、どこでもお祈り始めちゃうの、職業病だからさあ 気にしないでねぇ。」
「それはそうと君たち もう仲良くなったんだね。」
「まあね。 ぴこぷなんて、ビルキン君に見とれちゃって、ね? 帰ったら、ぴキムにお仕置きされるね!」
キモン君とコプター君は お互いそっぽを向いている。いつもは仲良しなのに....喧嘩はいけませんね、、、皆、平等に慈しみを持たなければ。
「Dun牧師様が講堂でお待ちです。」
それにしても、美しい光景だ。
私の傍にいる 彼らの美しいこと。。。。。
誰もが振り返る
何びとの目を惹く麗しさ。
天使達が語らい 笑い 集う奇跡。
私は 多くの奇跡をいっぺんに目にしている。
黄金の輝きが、辺りに降り注いでいるようだ。。。。。
Dun牧師も、目を奪われるだろうなあ…
ちょっと嫌だなあ 会わせるの
いや だいぶ嫌だなあ…特にbasくんはコートの下に隠してしまいたいくらいだ。。。。。
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「ねぇ、クリットくん、どうしていつまでも僕の言うこと聞いてくれるの? 出会っちゃうんじゃない? ぼく達... 君のビルキン君に。」
笑顔のまま 自称ビルキン君は答える。
「解るの?僕の好きな人だって?」
「まあ、なんとなくね。」
「バレてもいいけど、あいつにはバレたくないかな…」
「もしかして、片想い?」
こくんと頷く。
「そっか。じゃあ 僕と同じだね。僕なんて 絶対叶わない恋だもん。」
クリット君は僕の腕を取り、どうして?と聞く。やっぱりこの子は要注意。。。。。僕の勘は当たってる。
「僕にとっては 雲の上の人。デカすぎだっての....あ、存在がね。永遠の片想いだ。」
「僕の場合は、近すぎるんだ。シェアし過ぎたよ。あいつの頭には、幼馴染みの上も下もないんだよね......」
クリット君の指に指を絡める。
「片想い同士 仲良くする?」
「うん、 する。basくん。」
キュッと手を繋ぎ、前を向く。
好きな人の名前を呼んで。
自分の名前を変えてまで 好きな人。
いいなあ クリット君は 純愛だ。
僕も 心の中で呼んでみる。
僕はGxxod
.....違うね、笑
根っからの信仰者の名前なんて 名乗れるかってーの!
続く。