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【2019 9.17 期間限定公開 】resurrection 2 -WALHALA-

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9月27日まで公開させていただきます。是非ご覧下さいね(*^^*)

帰ってくるんだね
 
天国の門は 開く
 
貴男はまた 誰かに脚を開くの?
 
例え 貴男が厭わしく思っても
 
僕にとっては いつまでも 美しいから
 
 
 

 
「クリスト 久しぶりだね。相変わらず綺麗じゃん。」
 
ヘイムダルは Tシャツに短パンと軽装で現れる。
 
「ノックなんてしないくせに どこで覚えた?」
 
「天国の門でしょ? 第一通過者は、許可を貰わなくちゃ。」
 
ヘイムダルは、、、、いやフィアットは、その辺の若者のような出で立ちだ。
誰に聞いたのか、 下での振る舞いに的を射ている。
 
「普通でいいんだよ。 まあドアはノックするよ 誰だってね。」
 
僕のマンション。僕が招いた天使
懐かしいあの頃が 遥かなる時を経てありありと蘇る。
 
「僕を選んでくれて嬉しいよ。 ほらあの足の大きな神様が悔しがっていそうだ。」
 
興味ないってそんなこと。。。。。
むしろ、天使が降りてくるなんて 恐ろしいことの前触れに過ぎない
昨夜から、うじゃうじゃと周りに群がっている。
姿を消した、ミカエルは 今頃 成功報酬を収めているのだろう。
 
「そういえば 彼氏は?」
 
「シントーは コンケーンだ。 言っても知らないだろう? さっさと済まそうか?」
 
フィアットは まあまあと僕を宥め、ベッドに腰かけ、胡坐をかく。
僕の部屋をキョロキョロと見回し、興味深げにせわしなく首を振る。
 
「ねぇ クリス、ここって広いほうなの?」
 
「はぁ? 上と比べるな。 ちなみにここだけだからな。」
 
嘘!この建物全部じゃないの?と 真面目に驚いている。
うるせーよ。 地球的生活の水準は満たされているほうだ。
全くこれだから、嫌なんだよ創造主に近づきすぎた者は・・・・・。
更に、フィアットは、シントーを貶める発言をする。
 
「ねぇ 彼氏の稼ぎが悪いこと 怒ったんじゃないの? お父さん。」
 
・・・・・・
フィアットを選んだのは間違いだったな。 
ナノン、、、、、変更効かないか? あのデカい神様の方が無難だったか?
 
 
「・・・・・怒んないでよ? 消されたくないからね? 君のお父さんに。」
 
「解ってる、、、さっさと済ませ。 脱がないでするの? それでもいいよ・・・・」
 
クリスト ちょっと黙って。。。。。
 
フィアットは、唇に指を当て 自分の隣をポンポンと叩く。
Tシャツを脱ごうとすると、裾を掴んで、制止する。
ウウンと首を振り、微笑む。
悲しげに、憐れみを称えて。
 
しないのか? 昔なら、一も二もなく、ベッドへ誘われれば 肌を重ねた。
飼い鳥が、夜明けを告げるまで 何度も抱かれた。
 
 
「クリス。 僕はさ、そんなに冷酷な神じゃないよ。 見てれば解るよ。 あの頃の君とは違う。」
 
誰にでも抱かれる訳がない
 
「シントーに愛されてるだろう。人としての生を送っている。 大事にされてるでしょ。」
 
シントーだけに愛される体躯。
一見で解るよと フィアットは微笑む。
 
僕は、へたり込む。 フィアットの肩に顔を伏せた。
 
どうしたらいい
どうにもできないのに
頭はまだ。。。。。
心はまだ、、、、、可能性に縋る。
 
 
「ごめんな。 何にもしてあげられない。」
 
フィアットの一言で どうしようもないと実感する。
 
抗えないものにどうやって立ち向かう。
 
応えは 無 だ。
 
「・・・・・シントーの記憶は消える? 」
 
「二人とも消えるよ。  でも、神は、いつか思い出す、、、、前例ならあるだろう?」
 
あるよ。 あったよ。
 
幾度か、 違う次元で、違う世界で。
 
いつだったかは シントーより年上で。
 
吸血鬼のようなシントーの恋人の日々
 
シントーの舟に乗ったこともある。 乗組員として。。。。。
 
どれもが、僕にとっては美しい日々だった。
 
そして、父に頼んで、人にしてもらった
 
シントーに愛されるべくして 生まれ変わった。。。。。
 
ポタンポタンと、涙が落ちる。
 
太ももが濡れる ツーっと内股を伝いシーツを濡らす。
 
「絶対にな、、、、、シントーに巡り逢うんだよ・・・・・  僕たちはそういう風になっているんだよッ・・・・・」
 
 
いつの時代にも
 
どの次元でも
 
僕らは 必ず 巡り合う。
 
運命なんだ。
 
声を上げて泣いた。
フィアットは、何も言わず抱きしめた。
 
僕が神を止めてから、同時に異次元の僕は、防衛を試みたはずだ。
シントーを捕られぬように、矢面に立った。
それがどんな形で作用しようとも、僕は護れた。
僕らの世界が壊れぬように。
無意識に 無自覚に。
 
周囲に 守護天使がいることも知らずにね。
ある程度年月が過ぎると気づくんだ。
それは、覚醒というらしいんだけど、元は自分が何であったかを思い出す。
すぐに記憶を押し込めて、日常を過ごすが、ふとした瞬間に絶望する。
 
なぜ 僕は  人になりきれないのかと。
 
シントーに 可愛いね 天使みたいだと褒められることが嫌だった。
愛されれば愛されるほど、人から遠のいていくような気がしていた。
 
そう、、、、、
 
もうそれほど遠くない程に 思い出していたんだ。
 
「クリス よく頑張ったね。 もう心を痛めることもなくなるよ。」
 
天使と悪魔
 
神と人
 
括りなんてなければ、 僕らは平穏だっただろうか。
 
「ルーシーと寝た時、あいつ言ってたな。 神は神だなって。」
 
「悪魔の戯言だよ。 忘れて、クリスト。」
 
いいや、 その通りだ。
 
元大天使だもん 側近で知ってる。
 
「神は 最初から 知っていたんだよね。 僕が戻ること。」
 
フィアットは 応えない。
 
ただ 僕の頭を抱いて、僕の涙が枯れるのを待った。
 
何時間も  
 
何日も
 
それは、たった一夜のことだったのか 定かではないが
 
僕は、長い刻を このクーラーの効いた部屋で過ごした気がする。
 
「じゃあ 僕は帰るよ。 また復活したら 会いに行くよ。」
 
「待って ヘイムダル! このまま帰って平気なのか?」
 
ヘイムダルは、ハァ・・・・とため息を漏らす。
 
「クリスト  あんたやっぱ 人間だわ。 良い人間。  ちゃんと生きてるわ。」
 
自分は神に気に入られてるから 大丈夫だと。 扉へと歩く。
人らしく、扉を潜って 帰るんだと  耳のピアスを揺らし 扉を開ける。
 
「クリスの恋人が帰ってくるよ。 いっぱい抱いてもらいなよね。」
 
シントーがコンケーンでの仕事を終えて戻る日だ。
 
なんだよ。 抱いてもらえって。 恥ずかしい奴だ。
 
 
扉が開く。  ノックはない。
 
ふわっと 南国の風が吹き込む
 
ただいまーと 愛する人が入ってくる。
 
目の下にくまを作り、 だが満面の笑顔で。
 
寂しくて泣いていたの?  
バレるよな 目が真っ赤だもの。
目薬を差さなくちゃと バッグをごそごそと探るシントー。
 
ぎゅーっと抱き着くと 体温が伝わる。
離れずに傍に居て欲しい
永遠に願いたい。
無駄だけど
ただこの瞬間だけでも 願う。
この体が消えるその日まで
シントーに愛されたい。
シントーが吐き出す熱を全て受け止めよう
体内に留めて、閉じ込めたい。
人間の性と本能
僕は、人だ。 
来る日まで  愛を止めないで生きよう。
 
 
 
「シントー お腹空いてる?  すぐに食べられるよ。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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