9/11まで 公開します! しかしこれの繰り返しなような気がしないことも無い555

「クリス、僕のこと好き?」
進行表を見ていた僕に、シントーは聞く
「兄として 好きだよって答えればいいやつ?」
本当はちがうと解っていた
すぐ側に立って、真顔なのが明らかに求める答えじゃないことは..... 。
それを近くで見ていた OFF兄さんが 僕に耳打ちをする。
「テント 今誰も使ってないから、中で話したら?」
他の仲間にも聞こえているようだ。
それに、メディアという公共の目があることへの配慮だ。
僕が歩き出すと、シントーものたのたと後をついて来る。
パイプ椅子に向き合って座る。
スタッフが1人いたが、僕らのことは知っているし シントーの少しの変化なら気にもとめないだろう。
「シング どうしたの?不安なことがあるの?」
俯いたシントーの頭を撫でる。
「 クリスは僕のこと好きじゃない。」
何を聞いた? 何に反応したんだ?
今日は朝から、様子は違っていたのは気づいていたが、 寝不足といつものマイペースで、若干ハイになっているのだと思っていた。
違うの? なぜ 僕の気持ちを仕事場で確かめたりするの?
僕は、シントーが好きって知ってるくせに。。。。。
「いや さっきのはほら… メディア向けのお決まり文句だし 口裏合わせするじゃない? いつものようにさ。」
「 聞いたのは 僕だ。 」
シントーの表情に思わず後退る パイプ椅子がズズッと地面を滑る。
切なく 苦しい顔
これは駄目だ
シントーのムードに流される訳にはいかない。
兄さんはずるいんだ
演技じゃない いつもの自分を簡単に顕す
どれだけ 僕が苦労しているか 解らないだろう?
甘えた仕草や 僕を見据える眼差しに
あしらうことも出来ずに 受け止めていることを。
ねぇ 卑怯だよ.....
僕たちは、どこにいたって 晒される立場なのに
僕たちだけの秘密を 不特定多数に知られること
避けてきたんじゃなかったの?
「シング 続きは帰ってからでいい?」
「駄目 明日早いから 」
「わがまま言うなんて 兄さんらしくないよ.....」
「愛することに 我が儘になっちゃ いけないの?」
「そう言うこというの ずるいよ! シントーだって 僕のこと平気ではぐらかすくせに! 外じゃお互い ピーノーンしようって決めただろ?!少しの嘘は必要だって..... 」
僕は すぐに態度に出るから 注意深く振る舞っているのに なんで、急にそんな事言うんだ 一つ年上の兄さんは時々子供っぽさを出してくるけど 一人っ子の性分だと認めていた
でも今日は、少し、、、いやだいぶ様子が違う。
「シング、 僕はどうすれば良いの? 」
僕は 貴方だけに心を許してる
唇も身体も 僕 全部。
「ちょっといい? シントー来て。」
Gun兄さんがシントーを連れて行く
入れ代わりに、OFF兄さんがパイプ椅子に腰掛ける。
「ちょっと聞こえた。シントーはお前を好きすぎるんだ。言葉や態度の端々に、漏れ出てる 仕事場だからって抑えようにも限界なんじゃない?」
「それは 僕のポジションだよ 兄さんは笑ってればいいんだ それがお決まりだもん。」
OFF兄さんは、指を振って そうじゃないって否定する。
「お前に感化されてきてる クールで大人しいように見えるけど 情熱的な男だろ? そろそろ収まりきれないんだろ 兄弟設定じゃ ね?」
気づいてるだろ?と額を指で突く。
「 僕は 楽だよ 今。 Gunは僕になくてはならない存在だと思うようになった 愛って どんどん変化するんだよ 多分な 。」
そろそろ本番!行くぞとおどけて立ち上がるOFF兄さん
「ピーオフ コップンナ 2人でもう一度話してみる。」
応と背中をポンポンと叩く
「なんでGun兄さんといちゃついてんの?」
「キット そうじゃない..... シントーなりのスキンシップだ いいんだよ 僕らに対してもそれぐらいで。」
でもちょっと妬けるなと OFFはGUNの元へ飛んでいく。
シントーも僕の方へ走ってくる。
「キット ごめん お前に臆病になりすぎてた。 キットのインタビューを真に受けた 解っているのに.....ごめんな 責めたりして。」
Gun兄さんからのアドバイス
〝自然でいること お互いに心配しすぎないこと〟
確かに僕たちは仕事柄 TPOでわきまえる。
発言も振る舞いも
良くも悪くも みたまんま受け取られる。
少しずつ 蟠って 不満として噴出する。
「 僕こそ ごめん 兄さんが優しすぎて、その愛に胡座かいちゃったかも。」
これ以上に縮まる距離なんてない
愛は深まって 笑顔は溢れ 幸せで包まれる
僕たちは、 ほんの少し
ほんの少しだけ 緩やかに進まなければ
激しくぶつかっても 傷つくことを恐れないこと
緊張を解いて 僕らなりのスタンスで。
「キット 愛してるよ。」
「シング 僕も愛してる。」
いつものようにハグをして
僕らを演じよう。
ー恋の駆け引きー 終