皆さん感想お待ちしてまーす(^^)/ 各話 10日までです♪
GW明けの月曜日応援 読み物
仕組んだよ? 僕たちが、ね
だって 誰にも触らせたくないんだもん。。。

「キット、 次に入った子達の人気 凄いんだって!」
Gun兄さんが見つけてきてくれた 僕らの代わりのボーイフレンド。
シントーが止める条件として オーナーが代わりの従業員を探せ…と。
「 tay兄さんに頼んで良かった!おまけにもう一人も なかなかなんだよ!」
次に店に出向いたら シントーの代わりに 違う男のパネルが飾ってあるのだろう。
「ぴーGun ありがとうね。 僕の我が儘聞いてくれて。」
シャチのフロートに乗って 揺らいでいる兄さんに改めて礼を言う。
僕たちは 二人で、逃亡した。
いや、本当は休暇だけど。 シントーに怒られたくなくて、怖い顔を見たくなくて バンコクを飛び出した。
「何回ありがとう言ってんの、キットの名案に僕が乗らないわけないでしょ?」
「パニックなってないかな… 突然理由もなく解雇されたし オーナーに口止めしたのも 有効かどうか…。」
「 大丈夫! もしキットが、ノーンシントーに責められたら 守ってあげる。 スーパーキュートに迫って説き伏せてあげるから。」
「いや、迫るのは駄目だよ… でもバレてないかな…」
バチャバチャとばた足でプールサイドへ戻り、スマホを見せて 微笑むGun兄さん
「バレてるよ パピにはね。質問責め ウザイから、電源切った。これで 勘のいいパピは気づく。」
「ちょっと!それじゃあ 逃げた意味ないじゃん!」
細い身体をローブで包み デッキチェアに腰掛ける。
「キット あのね、、、怒らせれば良いんだよ。僕らの気持ち 思い知ればいいんだ。」
リクライニングさせたチェアにもたれて、整った顔をツンと上に向け 目を閉じる。
「ぴー 提案したのは僕だけど、兄さんとパピを不仲にさせるなんて間違ってたよ。」
「おい キット 僕らは不仲じゃないよ。まだ喧嘩にもなってない。」
じゃあ どういう状況?と聞こうか迷っていると、兄さんは 僕の前髪を整えて ニッコリ微笑む。
「喧嘩したっていいじゃない。言いたいこと言う お互いにね。言わなきゃ伝わらない。愛してるから。 僕の思いはきちんと知ってもらいたい。」
だから クリスもシントーと思いっきりぶつかればいい。それで壊れるような関係なら それ程のものだよ。とGun兄さんはきっぱりと言った。
「シントー 僕のこと めちゃくちゃ好きだよ。 …だから うん…ちゃんと向き合う。」
ウンウンと頷いて、今日は楽しもう!と エメラルド・ミストを手渡す。
ブルークリアーな液体を啜る。 度数の高い ウォッカが喉に沁みる。
「僕ね 知ってるんだ。パピやシントーが 僕らのデート決まると不機嫌になること。」
「え? シントーも?」
うんと頷き カクテルを一口飲み込む。
「シントーは演技してるから分かり難いけど、本人は気付いてなさそうだし、顔 めちゃくちゃ不細工になってる。こんな ね?」
Gun兄さんがシントーの顔真似をしたのが あまりにも可笑しくて カクテルを噴いて笑った。
「あー イケメンの変顔って破壊力半端ないな! それと パピ 妬くとこ見てみたい。」
「基本ね 僕らはレンタルされてもセックスしないんだ。 パピはふざけてキスくらいはしてるかもだけど。 クリスは?」
「…特に縛りはないよ。」
「そっか… シントーは? クリスと同じ?」
聞いたことなかったな…
お互い仕事と割り切ってるものだと。
デートプランはお互いに知らない。
兄さん達は 決めごとがあったんだな。
僕たちは 何年間もずっと不確かで、関係がどうであれ 一緒にいる時間だけは長くなった。
初めてキスして、数年間 身体の関係なんてなかった。そんな感情は薄かった、、、筈だ。 女の子も抱けるし、自己の性の方向など考えもしなかった。
この仕事を勧められ 始めて二年。
次第に変わりゆく自分に気づいた。
一緒にいる時間が長くなり、部屋をシェアして、成り行きで、躯を重ねた。一度限りの興味だった 最初は…。
でも違った。
愛が芽生えるってよく言うだろう?
僕たちの間にも それが生じた。
そこからは 早かった。
シントーが好きだと。
物凄いスピードで 僕らは求め合って、愛を言葉にするまで 時間はかからなかった。
「解らない でも嫌だ…誰かを抱いてるなんて想像したくもない。」
愛 だと認めた瞬間から この人以外は誰も欲しくなくなった。
嫌で嫌でたまらなくなる
感情を素直に出せない自分に苛ついた。
Gun兄さんは 隣に座り 穏やかにゆっくりと僕を宥めた。
僕の気持ちを汲み取ってくれたんだ。
最近の僕の様子がおかしかったこと
デートで失敗してクレームが続いたこと。
兄さんは、気付いてくれた。
その結果、僕たちは、恋人を解雇する計画を実行した。
ただのエゴ
けれど、 愛は一人にしかあげられない。
だんだんと、拒絶しだした頭と身体は 反対に、シントーへの独占欲へと変わった。
「普通の反応だよ。キットやシントー パピもゲイって訳じゃない。ただ愛してしまったら それが誰であれ 自分にとって真実なんだ。誰も気づくまでは、何らかの犠牲を払うんだ。」
僕の目からはいつしか 涙が零れていた。
兄さんが頬を拭う。
泣いちゃってもいいよ
僕はシントーほど狼狽えないから
フフっ シントーはテンパるの?
クールなノーンはどうなるの?
強いていえば、必死過ぎて イケメンが台無し…かな。
涙は 笑いに変わる。
バンコクに戻ったら、話をしよう
きちんと謝って 想いを伝えよう。
もう一度
シングが好きだと。
コートーナ……
レンタル彼氏は廃業だ
棚に並んだ僕のシントーは 非売品
僕が永遠に独り占めだから。